クルアン・ドントリー 営業通信
東京・タイロイカトン際2010
一昨年に、港区台場で開催された「東京・タイロイカトン際」についてお伝えしましたが、先日8月7、8日に日比谷公園で開催された「東京・タイロイカトン際2010」に2年ぶりに行ってきました。
例年、初秋に東京・台場で開催されていましたが、どのような理由かわかりませんが本年度は8月に開催となりました。メインステージで、タイ古典舞踊、ムエタイ、ミスコンなどが催され、会場各所では、タイの物産、タイ飯店などの出店が並びました。
メインステージ
会場内の出店 セラドン焼
ソープカービングの体験と販売コーナー(けっこうなお値段です。) フルーツカービングの体験コーナー
バンコクの露店でおなじみのカエルの木彫り
タイ古典舞踊ですが、北部から南部までの地方色豊かな踊りを披露してくれました。先日のインドネシアのアグレッシブな踊りとまったく対照的な、マッタリ系の踊りです。
恒例のカトンパレードと灯篭流しです。
今年のタイ伝統楽器演奏は、在京タイ大使館の方々によるクルアン・サーイ(弦楽器合奏)で、数曲演奏されました。このグループは、今後も様々なイベントでタイ伝統楽器の演奏活動を続けていくとのことです。
ところで、この演奏の合間に、在京タイ大使館が目黒から九段下に移転したとのアナウンスがありました。以前の大使館には、ずいぶん昔に就労ビザの申請で行ったことがあります。その頃のことはほとんど覚えていませんが、うっすらと記憶にあるのは、タイ大使館のもつちょっと独特な異国の雰囲気です。今にして思えば、タイの雰囲気に触れた初めての経験でした。(その後、その雰囲気にどっぷりとつかるのですが。)
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インドネシア・フェスティバル2010
最近、東京において東南アジア各国のフェスティバルがよく開催されています。タイの関係では、タイ・フェスティバルやロイカトン祭りが有名です。
7月10・11日に、代々木公園イベント広場にて「インドネシア・フェスティバル2010」が開催されたので、立ち寄ってきました。
インドネシア・フェスティバル2010は、「多様なインドネシア文化の紹介・インドネシアとの交流を深めるとともに、代々木公園という立地の良さを最大限生かした集客イベント」と銘打ったイベントです。
フェスティバルの期間中、メインステージでは、インドネシア伝統舞踊や音楽のプログラムが組まれ、会場内では、フードコート、マーケット、NPO/NGOの出店がありました。
7月11日の午前中のステージです。スンダ地方のパーカッショングループ、Rampak GendangとI-Kreasindoの共演です。
伝統舞踊のBGMは、インドネシアの伝統楽器です。二弦の胡弓は「ルバブ」、左手の太鼓は「クンダン」、手前の鉄琴が「サロン」、いずれもガムランの楽器群です。
インドネシア伝統楽器によるコンテンポラリーの演奏です。
マーケット・エリアでは、色々な民芸品が展示・販売されています。これは、インドネシア伝統芸能のひとつ、「ワヤン」(影絵芝居)の人形です。
デワンダル・ダンス・カンパニーによるジャワ舞踊。
昼近くになり、フードコートには長い列ができています。ナシゴレン(タイで言うところのカオ・パット・カイ・ダーウ)をいただいて会場を後にしました。
ところで、今年の「東京・タイロイカトン祭り2010」ですが、8月7日(土)~8月8日(日)に日比谷公園で予定されているようです。ロイカトンでなぜ8月、という気もしますが、例年通りのイベントが予定されているようですので、のぞいてみてはいかがでしょうか。
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ラナート・エク(3) ― タイ伝統楽器について(7)
タイ伝統楽器について、ラナート・エクの3回目です。
○ラナート・エクのマレット - マイ・ヌアムとマイ・ケン
ラナート・エクには、ヘッドが異なる2種類のマレット(バチ)があります。マイ・ヌアムとマイ・ケンです。この2つは、音色に大きな違い・特色があり、ラナート・エクの表現力を拡げています。それぞれの音色を生かした合奏形態で使われます。
○マイ・ヌアム ― 優美・協調性
マイ・ヌアムのヘッドは、布と糸で巻き固めたものです。これだけではヘッドが軽すぎるので、ラナートなどの調律用のチューニング・レド(鉛とビーズワックスの混合物)を使って重さを調整しており、ヘッドとシャフトの適度なバランスを保っています。
マイ・ヌアムで奏でるラナート・エクは、マリンバに似たやわらかく温和な音となります。合奏に溶け込み、長時間聴いていても疲れない音です。(ちょっと眠くなるかもしれません。)
マイ・ヌアムでラナート・エクを叩いてみると、(録音があまり良くありませんが)このような音です。 マイ・ヌアムの音
ラナート・エクにマイ・ヌアムを使用する代表的な合奏として、ピーパート・マイ・ヌアムがあります。ピーパート・マイ・ヌアムは、代表的なピーパート合奏(マイ・ケン)の構成楽器について、管楽器のピー・ナイ(リード管)をクルイ・ピアンオー(フルー管)に変更し、ソー・ウー(擦弦楽器)を加えた合奏です。合奏規模が複数ありますが、楽器編成の変更とマイ・ヌアムによって、通常のピーパート(マイ・ケン)合奏よりもやわらかく落ち着いた響きの合奏になります。その他では、マ・ホーリ、ピーパート・ドゥク・ダム・ボンで使われますが、いずれもマイ・ヌアムのソフトな音質が合奏をまとめています。
○マイ・ケン ― 力・自己主張
マイ・ヌアムよりヘッドがやや小ぶりです。ヘッドの基本構造はマイ・ヌアムと同じですが、ラック・ゴムを塗り固めて表面を硬くしています。このラック・ゴムの塗布・乾燥工程が加わって製造工程として手間がかかるため、一般的にマイ・ヌアムよりも高価です。さらに特別生産の一品物には、きわめて高価なものもあるようです。(簡単に工場から卸してもらえません。)
マイ・ケンで奏でるラナート・エクは、木製の鍵盤から発音していると思えないほど金属的ですが、輝かしく華やかな音色で強烈に主張し、かつ豊かな音量で演奏会場を圧倒します。マイ・ヌアムの「マリンバ」に対して、マイ・ケンは「シロフォン」の音色に相当します。しかし、シロフォンほど軽やかではなく、重厚な上での華やかさです。まさしくピーパート合奏の花形としての感があります。
マイ・ケンで叩いた音です。 マイ・ケンの音
マイ・ケンは、正統的なピーパート合奏(ピーパート・マイ・ケン)の他、ピーパート・モン(葬儀で行われる合奏の形態)、ピーパート・ナン・ホンで使われます。
ピーパート・マイ・ケン、ピーパート・マイ・ヌアムの響きの違いは、きちんとした演奏(こちらのCD)を聴いていただくと、さらによくわかると思います。(PEE-PARD MAI KANG ,PEE-PARD MAI NOUM)
CDコーナーでは、マ・ホーリ合奏、ピーパート・モン合奏のCDも、近々UPの予定です。
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いただいたご質問と回答(2)
前回に引き続き、いただきましたご質問と回答をご紹介します。今回は、タイ伝統楽器の”教材”に関するご質問その他です。
○教材について
・ビデオCDベーシック・スタンダード・タイ・クラシカルミュージックシリーズ(各¥2,400)は、どのような種類があるのでしょうか?
タイでもメジャーな伝統楽器(キム、ソーウー、クルイなど)については、ビデオCDなどの教材がけっこう出ていますが、それ以外の楽器には教材らしい教材は見当たりません。そのような中で、”ビデオCDベーシック・スタンダード・タイ・クラシカルミュージックシリーズ”は、メジャーな楽器以外の演奏法に触れることができるたいへん貴重な資料です。現在、当店で扱っているものは、以下の楽器です。
キム、ソーウー、ソードゥアン、ソーサームサーイ、チャケ、ラナート・エク、ラナート・トゥム、コンウォンヤイ、クルイ、トン・ラマナー
合奏のレッスンとして、ピーパート・マイケン、ピーパート・モーン、マホーリ(弦と歌の初期マホーリ)
デモ・ビデオとして、クルアン・サーイ+歌、マホーリ+歌、ピーパート・ナン・ホン
ソーウー、ソードゥアン、ラナート・エクにつきましては、アドバンス版(中級)もあります。
また、このシリーズには、タイ舞踊などのレッスンもあるようです。ご要望があれば取りそろえていきたいと思います。
・ソーウーの教習ビデオの在庫はありますでしょうか?
ソーウーの教材につきましては、以前からたくさんのご要望をいただいておりましたが、P-06”ソーウー教習”を入荷いたしました。このVCD(テキスト付き)では、弦の交換方法からはじまり、曲を通して基本的な演奏方法をマスターすることを目指したものです。VCDにはナレーション(タイ語)がなく、映像(演奏およびソーウー譜のテロップ)とソーウーの音のみで追っていくことができるので、タイ語がわからなくても理解しやすい教材です。
・キム教則本で、チューニング方法と弦の張り替え方法が載っているものはないでしょうか?
キム弦のチューニング方法と張り替え方法につきましては、当店で販売しているビデオCDにて紹介されています。
チューニング方法 : P-01「キムの練習」
弦の張り替え方法 : P-01「キムの練習」、P-02「キム教習」(詳しいです。)
ビデオCDではありませんが、P-07「タイ音楽練習帳 キム」にも、弦の交換方法、チューニング手順が紹介されています。タイ語テキスト上での説明なので、タイ語が読めないと少々難しいかもしれません。(チューニングについては、手順が写真に示されています。)
・日本語のキム教則本はありますか?
残念ながら、一般に販売されているタイ楽器教則本で日本語で書かれたものは、今のところ存在していないと思います。当店ではタイ語テキストの翻訳も検討しましたが、権利関係の問題があり、なかなか難しいところです。そのような中、キムやソーウー、クルイなどタイ伝統楽器の中でもメジャーな楽器について販売されているビデオCD教材につきましては、タイ語を解さなくても映像と音声によりそれなりに理解しやすいため、当店でご紹介しているところです。一部の商品につきましては、テキストとビデオCDの内容の対応表(日本語)などを当店で作成し、添付しております。
なお、タイ伝統楽器の教則本として英語で書かれたものを見かけたことはありますが、内容がたいへん希薄にも関わらず、非常に高価なため、当店では扱っていません。また、お勧めもできません。
・タイ伝統音楽の理論、歴史などを知りたいのですが、どのような資料があるでしょうか?
前項のご質問と同様ですが、タイ伝統音楽に関する理論書等でも日本語で書かれたものは存在していないと思います。英語の文献は若干存在していますが、絶版となっているものがほとんどで、現在入手することは困難と思われます。当ブログの中で、時おり引用文献としている”The Garland Handbook of Southeast Asian Music”(ROUTLEDGE)は、東南アジアの音楽全般を紹介していますが、タイ伝統音楽についても、比較的に詳細な情報が得られます。
(このご質問をいただいた方は、タイにお住まいの上、現地でタイ伝統楽器を習われている方でしたので、タイ語の文献をいくつかご紹介しました。)
・東京でソードゥアンを習うことができる教室などがあればお教え下さい。
申し訳ございませんが、東京でソードゥアンを習うことができる教室については、把握しておりません。
○その他
・そちらのお店は通販だけでしょうか? 実店舗はありますか?
当店は現在、通販でのご対応とさせていただいております。また、楽器本体につきましては、国内においている在庫は限られます。しかしながら、楽器という販売品目の性質上、お買い求めいただく際に実際に楽器をみて音を出していただくことが大事であると考えておりますので、個別にご相談いただきたく存じます。
ご質問と回答のご紹介は、以上です。このほかにも多くのご質問をいただいており、個別にご回答させていただきました。今後いただくご質問とともに、機会を改めてご紹介したいと思います。
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いただいたご質問と回答(1)
この2年間、多くの方々からたくさんのご質問をいただきました。その中から、代表的なご質問とその回答について、今回と次回に分けてお伝えします。(回答につきましては、同種の回答を集約していますので、個別にご回答差し上げたものと若干異なる場合がありますが、ご了承ください。)
○楽器メンテナンス等
・タイと日本では気候が違うため、現地の楽器をそのまま持ってくると、木の部分が割れたりするのではないか? お手入れや保管はデリケートなものか?
⇒ タイ伝統楽器の主要素材は木材です。木材は、温湿度の変化に敏感に反応することが知られています。
熱帯に位置するタイと温帯の日本の気候の差から楽器に不適応が発生することが懸念されるところですが、タイ国の工場では海外で使用するという前提で生産しておりませんので、他国の気候における楽器の適応性についての情報は持っておりません。
気候に差に関しましては程度の問題であり、タイと日本の気候は冬の時期を除けばそうかけ離れていないのではないでしょうか。しかしながら、日本の冬季の室内の湿度20%にまで至る乾燥はタイの気候にないものなので、注意が必要と考えられます。これは、タイの楽器に限らず、ピアノやバイオリンなどの西洋の楽器についても同じことです。
楽器の保管につきましては、極度の乾燥や高温を避ける(冬季の乾燥時の加湿、炎天下の車内に放置しない)など、通常のご対応で問題ないと思います。
当店での実績を見てみますと、数年前に日本に輸入したキム・ピースアについて、蓋にわずかなゆがみが出ているものもあります。しかしながら、本体にはそのようなことがなく、実用上にはまったく支障はない状態です。割れ等もまったく発生していません。
楽器のお手入れにつきましても、特段のものは必要なく、使用後に乾布で軽く拭く程度のことでよろしいと思います。真ちゅうなどの金属部分には錆が浮きやすいですが、表面に現れる程度の錆が音質に影響することはありません。
タイ伝統楽器にはそれぞれ保管上等において特有の注意点もありますが、そもそもタイ伝統楽器は、けっこうタフな楽器です。ご存知のとおり、現地ではたいへん過酷と思える環境下で使用されています。
○楽器について
・楽器の材質、音質、価格の関係を教えてください。
⇒ 当店のラインナップを見ていただきますと、同じ楽器でもいくつかのグレードがあり、価格に大きな違いがあります。
このグレード・価格の差は、主に材質の違いによります。一般に高級とされる素材を用いた楽器が高価です。美術工芸的な装飾をほどこした楽器を除く一般的な楽器(contemporary model)では、ラインナップでの価格と音質(の良さ)はほぼ確実に比例します。
楽器の価格を決めるもうひとつの要素は、製造元による品質の違いです。製造元の伝統や実績に基づく製品の品質、信頼性には大きな差があり、価格にも現れてきます。同じチーク製のキムでも、製造元により価格は大きく異なります。だいたい品質と価格は比例しますが、品質が低いにもかかわらず価格が高い楽器も存在するので注意を要します。
ですので、タイ国内で流通している楽器全体を見ますと、材質によるランクの違いと製造元の違いという観点があります。同じ製造元のラインナップであれば、価格と音質はほぼ比例するとみてよいのですが、同じグレード(材質)であっても、製造元により品質・音質と価格は様々です。
(この件につきましては、改めてお伝えしたいと考えています。)
・キムの種類に2種類あるようですが、キム・ピースアとキム・クラパウはどう違うのでしょうか?
現在、キムと呼ばれている楽器には、キム・ピースアとキム・クラパウの2種類があります。キム・ピースアの曲線の愛らしい外観と、キム・クラパウの直線的ですっきりした外観は対称的です。
しかし、本質的な違いはその音質であり、歴然とした差があります。ピアノを弾かれる方には、アップライトピアノとグランドピアノの違いといえば、よくご理解いただけるかと思います。前者がキム・ピースア、後者がキム・クラパウに該当します。
キム・ピースアの音は、こじんまりしてやわらかく、中音域にまとまっています。ポクポクといった素朴な音色が特徴です。これに対してキム・クラパウの音は、たいへん豊かかつ華やかで、高音域から低音域まで抜けがありません。弦長が長いことから、ゆったりと長い余韻で楽器全体が鳴ります。どちらが良いかは嗜好の問題となりますが、一般的にはキム・クラパウの音が上等と感じられるでしょう。CDのレコーディングにはほとんどキム・クラパウが使われていると思います。当店で扱っている工場でも、この音の差からキム・ピースアからキム・クラパウにマーケティングの重点を移しており、キム・ピースアの2グレードに対して、キム・クラパウは7グレード(多駒モデルを含む)を展開しています。
このように音質で優位に立つキム・クラパウですが、最大の欠点はその重さです。特にケースがハードケースのため、その持ち運びはスーツケースの運搬に近いため、頻繁に持ち運びがある場合、かなり面倒です。そのため、トロリーバッグのような長いハンドルと車輪のついたハードケースも販売されているようです。
・(以前、別の店にて購入したソーウーについて)教習ビデオをもとに練習しているのですが、思った音が出ません。スースー抜けてしまう感じです。
⇒ いただいた文面だけですと詳しい状況がわからないのですが、おそらく弓毛に松ヤニを塗っていなかったものと推測されます。
ソーウーやソードゥアン、ソーサームサーイのような弓で弦を弾く楽器は、弓の毛に松ヤニを塗って弓毛の摩擦を大きくすることにより初めて音が出ます。松ヤニを塗らないと絶対に音は出ません。通常、演奏前に塗りますが、購入直後の演奏時には、やや多めに塗っておくとよいでしょう。
(ご質問いただきました方には、松ヤニをご購入いただき、音が出るようになったとのご報告をいただきました。)
・(別の店にて購入したソーウーについて)ギターの弦のようなナイロンの同じ太さのものが2本になっています。貴社のホームページを見ると、ソーウーの弦はシルクとのこと。 これでいいのでしょうか?
⇒ 当店で販売しているソーウー弦はシルク製です。安価な弦としてナイロン弦も流通しているようですが、どのようなものか把握しておりません。また、2本の弦(内弦と外弦)は音程が5度も離れているため、弦の太さは異なります。それぞれ別の弦として販売しています。同じ太さということは考えにくいです。
○チューニング等
・ソーウーの調弦の音程は何でしょう?
⇒ ソーウーの調弦ですが、タイ音名ですと、低音弦がド、高音弦がソとなります。西洋音楽の音名と対応させますと、低音弦がB♭(ト音記号の五線譜で下第2間)、高音弦がF(同じく五線譜で第1間)となります。ただ、タイ伝統音楽と西洋音楽の音律は全く異なるため、あくまで目安とお考えください。チューナーのようなものは販売されていないのですが、クルイのような固定チューニングの楽器で音を合わせることがよく行われています。
・クルイのキーを教えていただきたいです!!
⇒ クルイには音程も含めていくつかの種類があります。最も一般的なのは、クルイ・ピアン・ウーです。(当店で扱っているクルイがそうです。) 普通のクルイ・ピアン・ウーは、タイ音名でド、西洋の音名でB♭管となりますが、もう一音高い調の楽器もあります。
・ピーパートアンサンブルのコン・ウォン群とラナート群の楽器の調律はどのようになっているのでしょうか?
コン・ウォン群(金属製ゴング)とラナート群(木琴)は、いずれも固定チューニングの打楽器ですが、調律で音程を調整することが可能です。合奏においては、調律によって同じ音程にチューニングされています。
次回(5月)は、ご質問のたいへん多い”教材”を中心にお伝えします。
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ごあいさつ ― 3年目を迎えて
- 2010-03-28 (日)
- その他
2008年のオープン以来、この4月で「タイ伝統楽器のお店 クルアン・ドントリー」は3年目を迎えます。
タイ伝統音楽は、その形成過程において周辺各国の要素を取り込み融合しながら発展した経緯があり、東南アジア大陸部における音楽文化の中核をなしています。他の民族音楽に見ない楽器・合奏形態の多様性、豊富なレパートリーとともに現在に至っています。
当店は、日本国内でのタイ伝統音楽演奏のサポートをコンセプトとして立ち上げました。タイ伝統楽器の専門店として、「タイ伝統音楽の演奏」をお楽しみいただくための高品質の楽器の供給、楽器の演奏に欠かせないサプライやソフトの整備など、「演奏」のサポートを目指しています。
「民族楽器」というと、楽器本来の用途よりも民芸品という見方から「調度品」や「装飾品」といった部分が前面に出る傾向があります。地域や時代に固有な意匠を持つ楽器にそのような面を求めることも、楽しみ方のひとつではあります。しかし、楽器の本来の目的は、やはり音楽の演奏を楽しむことにあると考えます。
楽器には、「調度品」が持ちえない性能が求められます。まず第一に「音」。そして、道具としての「耐久性」、「取り扱いやすさ」が挙げられます。「土産物」の楽器、あるいは現地の方々の所得水準に合わせた低価格の楽器があふれる中、当店ではローカルの方々のご協力を得て、道具として高い品質を持った真に演奏を楽しめる水準の楽器を取りそろえることができました。特に弦楽器(キム、ソー、チャケ)につきましては、タイ国内でも最高レベルのラインアップをご紹介できると自負しております。
おかげさまで、この2年間、音楽とタイを愛する一般愛好家の方から音楽をご専門とする方まで、予想を越えた多くの方々よりお引き合いをいただくことができました。(お問い合わせをいただいた方の中には、タイ国内で伝統楽器を勉強されている日本人の方もいらっしゃいました。)
さらには、当店の楽器を、コンサートにご利用いただく機会にも恵まれました。
これまで当店をご利用いただきました皆様、貴重なご意見ご指導をいただきました皆様方に、この場におきまして深く感謝申し上げます。
今後も、当初のコンセプトのもと皆様のご指導ご鞭撻を糧に、ご利用環境の整備・向上に努めていく所存でございます。
タイ伝統楽器のお店 クルアン・ドントリー スタッフ一同
次回(4月)は、今までよせられたご質問の中からいくつかを、回答とともにご紹介したいと思います。
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オートーコー市場
- 2010-02-26 (金)
- タイ一般
バンコクを含め、タイ国内には無数の市場が存在します。外国人にとっては手軽にエスニック気分を味わえることから、観光地と化している市場も多くありますが、当然ながらそのような市場は極々一部のもので、多くは地元の人たちの生活に根差したものや商業活動に関わるものです。
現地の方の商用に同行して訪れたのが、バンコクの北に位置する「オートーコー市場」です。ネット上ではかなり見受けられ、現地在住の日本人にはそこそこ知られているようですが、観光目的には無名といってよい市場です。それほど不便なところにあるわけではなく、意外にもウィークエンドマーケット(モーチット)の道路向かいという位置にあります。
農産物がメインの市場ですが、品質の高い高級食材を中心に扱っているのが、この市場の最大の特徴です。
市場のバルク売りには、「安い」という感覚がありますが、ここの食材は他の市場よりも値段帯がかなり上です。贈答用と思われる化粧箱入りのフルーツも並んでいて、”デパ地下”をイメージさせる市場です。
遠くから見ても質のよさそうに見える食材ばかり並んでいます。ご案内いただいた現地の方は、カニの買付けで値段交渉をしていました。
軍の幹部がヘリコプターで乗りつけて買い出しをしていくというオートーコー市場ですが、NHKハイビジョンで先日放映されたタイの米作の特集で、ここのコメ売り場のコメが紹介されていました。
確かにここのコメ売り場は種類がたいへん豊富で、白米のほかに茶や赤などのコメがあり、コメを主食とする我々にとっても、とても興味深いところです。複数の種類のコメを混合した「三色米」、「五色米」も販売していますが、もちろん日本のコメとは違い、どれも長粒米です。
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ラナート・エク(2) ― タイ伝統楽器について(6)
タイ伝統楽器について、ラナート・エクの2回目です。
○ラナート・エク概観
ラナート・エクの構造はきわめて単純で、舟型の共鳴胴の上に鍵盤を吊るしただけです。共鳴胴は上部が開いた箱で、船の形そのものです。水に浮かべればおそらく浮くでしょう。我々の感覚では、この姿形からは刺身を並べたものが容易に想像されます。共鳴胴の素材としては、ドリアン、マンゴー、カヌン、チーク、カリンなどが使われます。
鍵盤には両側に穴があけてあり、そこに細いロープを通して並べたものを共鳴胴の上に懸垂します。鍵盤の素材は、紫檀、手違紫檀、チークなどが使われます。鍵盤の裏の両端には調律用の錘(チューニングリード)が取り付けられています。鍵盤数は22ないし21鍵ですが、最近の楽器では22鍵が普通です。
共鳴胴と鍵盤は、それぞれに楽器の特徴を引き出すものですが、特に鍵盤はラナートの音色を直接的に左右するきわめて重要な部材です。ですので往々にして共鳴胴と鍵盤は別々に販売されます。
○ラナート・エクの種類
ラナート(木琴)には音域により「ラナート・エク」と「ラナート・トゥム」があることは、ご存知の方も多いかと思います。そのラナート・エクにもいくつかの種類があります。
1.ラナート・エク・ピーパート
普通、「ラナート・エク」といった場合、「ラナート・エク・ピーパート」を指します。ピーパート合奏やソロ演奏に使われる楽器です。幅が120~130センチ程度の大型の楽器です。
2.ラナート・エク・マホーリ
下の写真の左が通常のラナート・エク(ピーパート)ですが、右の楽器はやや小ぶりです。これは、マホーリ合奏の一形態であるマホーリ・クルアン・ペートに用いられる楽器で、”ラナート・エク・マホーリ”といいます。楽器形状、機能はラナート・エク・ピーパートと同じですが、楽器の大きさが若干小さくなります。現代では女性のラナート奏者も珍しくないですが、ピーパート合奏の演奏は、歴史的に男性の世界です。ピーパートで使用されるラナート・エク・ピーパートは、タイの小柄な女性にはやや手に余る大きさです。一方、マホーリ合奏やクルアンサーイ合奏には女性奏者が入ってきます。(特にクルアン・サーイでは女性が主体的) ややコンパクトなラナート・エク・マホーリは、マホーリ合奏における女性プレーヤーに合わせたもののようです。
ラナート・エク・マホーリを見かけることは少ないと思います。当店で取引している工場でも、通常の生産ラインでは製造していません。
3.ラナート・エク・ラーントン
タイ伝統音楽は、式典など格式の高い場において演奏される機会が多いのですが、場に合わせて「正装した」楽器が使用される場面も多くなります。楽器の種類と言えるかどうかわかりませんが、共鳴胴全体に緻密な彫刻が施され、金ぱくや螺鈿で装飾された楽器は、「ラーントン」と呼ばれています。
バンコクの国立博物館に行きますと、古びたラーントンを見ることができます。また、演劇の伴奏や市中の寺院などで催されるタイ・ダンスの伴奏でもよく目にします。
ラナート・エク・ラーントンは、その製作にあたって材料費・製作の手間とも莫大になるため、きわめて高価です。当店では今のところ扱っていませんが、この手の楽器には装飾に象牙を使用したものも多く、日本に輸入できる楽器は限られると思います。
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タイ伝統音楽のレパートリー(1)
- 2009-12-05 (土)
- タイ音楽
当店のCDのページを見ていただくとわかりますが、タイ伝統音楽のレパートリーはたくさんあります。初めての方は、曲目を見てもどのような曲か皆目見当もつかないでしょう。そこで、タイ音楽の成立、曲名の意味、定番曲や有名曲などをご紹介していこうと思います。
なかなか主観が入りやすい部分ですので、参考文献(The Garland Handbook of Southeast Asian Music)からの引用で、数回に分けてご紹介します。
今回は、作曲家とその周辺をお伝えします。
○タイ伝統音楽の作曲事情
タイ伝統音楽は、どのような人達により作曲されたのでしょうか。
1800年代から1900年代に作られた曲の多くは作曲者が知られています。しかし、それ以前のもの、つまりアユタヤ朝以前の曲については作曲者はまずわかりません。タイの音楽家は作曲するとき、紙の上に曲を書いて残すことはせず、頭の中だけで音と音楽構造を入念に作りこんでいました。曲を具体化するのは演奏の場であり、教師という立場でもある作曲者が他の演奏者に口述で作曲を伝える時でした。作曲者は、時には機械的にそれぞれの楽器パートを教えたり、時にはコンウォンヤイのパート(基本旋律)を演奏してみて、各パートにそれぞれのパッセージを想起させるという方法をとっていました。そのような方法で曲の全体像がアンサンブルの全パートに共有されことになります。作曲にあたっての所有権、著作権といったものは発達しませんでした。
タイの方々の名前は、ニックネームを日常的に使用することもあって非常にわかりにくいことはご存知でしょう。タイの作曲者名についても同様で、混乱の原因となります。時には知られた作曲家でもニックネームが一般的となっている場合もある一方、ラマⅤ世とラマⅥ世の時代以降、タイの国王は、著名な市民に階級と名誉称号の両方を授けてきたことから、事情はより複雑になっています。これら栄典に与った音楽家のうち最も有名なのは、一般にルアン・プラディット・パイロ(1881~1954)として知られるタイの最も有名な作曲家です。最近では映画”ホームローン”の主人公として知られていますが、彼の名はソーン(矢)、そして名字はシラパバンレン(音楽を演奏する)でしたが、ラマⅥ世は彼にルアン(サー・ネーム)と名誉称号プラディット・パイロ(美しい創造)を与えました。他の音楽家では例えば、”Recite Sweet Words”、”Be Adroit at Music”、”Beautiful Sounding Fiddle”といった意味の称号を受けている人達がいます。このような称号を持たない音楽家は、普通に”先生”として呼ばれていました。
作曲家の中には王族もいます。プラジャディポック(ラマⅦ世、在位1925-1935)は“クルン・クラトップ・ファン”(波の音)、”ラトリ・プラ・ダップ・ダオ”(星明りの夜)、”カメン・ラ・アウ・アウン”を作曲しています。ナリット皇太子は、タイ伝統音楽で最も有名な曲といわれる、“カメン・サイ・ヨク”を、1888年に作曲しました。
作曲家の中で、一般人として最も有名なのがタイ文化省芸術局のMontri Tramoteです。彼は、作曲家として数多くの作曲(“ソム・ソン・セン”(月光)、”ケック・ドイ・マウ”(かめを叩くインド人)を含む)を手がけるとともにであるとともに、タイ音楽史の第一人者でした。彼とその周辺の人達は、既往の古典楽曲に対してヴァリエーションを作曲しています。
さて、上で紹介されている曲ですが、現時点で当店で取り扱っているCDでは、以下に収録されています。(今後もどんどん増える予定です。)
”カメン・サイ・ヨク”は、タイ伝統音楽の超メジャー曲のため、多くのCDに収録されています。
ピーパート版 Solo Ra Nad Mai Nuom(TD-60)
キム版 Deaw-Kim(Kha-men-sai-yok)(TD-112)
チャケ版 Solo-ja-kae ; Lao-pan(TD-35)
”ソム・ソン・セン”(月光) ピーパート版 Wong-pi-path-Mai-nom (TD-04)
”クルン・クラトップ・ファン”(波の音) キム版 Deaw Kim Bung Bai(TD-109)
”ケック・ドイ・マウ” チャケ版 Solo Ja-kea(TD-19)
(「タイ音楽のレパートリー」では、タイ伝統音楽の楽曲名など、2、3回にわたってお伝えする予定です。)
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ビルマ(ミャンマー)音楽の演奏会 ― 聴いてきました。
神秘の国に誘われ~ミャンマー伝統音楽の楽しみ~
10月31日 北とぴあつつじホール
演目は、ミャンマー伝統音楽の代表的な合奏形式であるサイン・ワイン合奏、サウンガウクの演奏、オージー(太鼓)の演奏に、踊りを交えたものです。
舞台の緞帳が上がると、サイン・ワイン合奏のセットが現れました。パンフレットの写真そのものの金ピカのついたてに囲まれたセットに、まず驚かされました。
サイン・ワイン合奏は、打楽器合奏に管楽器を加えた形態で、タイのピーパート合奏に該当するものと思います。
向かって左側にゴング系旋律打楽器(タイのコンウォン)とネイ(タイのピー)、右側にリズム系打楽器、真ん中にパッ・ワイン(音程を持った太鼓を並べた旋律打楽器、タイでピーパート・モーン合奏に使われるプーン・マーン・コークに相当)で構成されます。
パッワインがピーパート合奏のラナートエクの役割となり、パッワイン奏者がコンサートマスターとして合奏の取り仕切りをします。合奏の音自体はラナートがパッワインに入れ替わったイメージで、パッワインの音が全体を特徴づけているように感じます。
音律は、タイのピーパートほどのクセはなく、西洋風のあっさりしたものでした。
サウンガウクは、いわゆる”ビルマの竪琴”として知られている楽器ですが、その音、音楽を知る日本人は、そう多くないでしょう。音量が非常に小さい上に響きが短く、ドライな感じで、ぽつぽつと雨だれのように聴こえる音です。元々宮廷で演奏されていた楽器ということですが、家庭内で演奏するにもよさそうな楽器です。
写真のサウンガウク演奏者、スー・ザー・ザー・テー・イーさんは、現在、東京藝術大学で音楽学を学ぶ留学生です。
本日のこの企画、合奏演奏、ソロ演奏、歌、踊り、操り人形など、盛りたくさんの演目に解説が加わり、2時間目いっぱいの充実した企画でした。ミャンマーの伝統音楽を日本で聴くというのは、たいへん貴重なものです。以前、2ヶ月ほどミャンマーに赴任したことがありますが、ミャンマー国内でも伝統音楽に触れる機会はなかなかないと思います。
翌日11月1日には、多少プログラムを変えたコンサートが東京藝術大学で行われています。
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