- 2009-12-05 (土) 17:07
- タイ音楽
当店のCDのページを見ていただくとわかりますが、タイ伝統音楽のレパートリーはたくさんあります。初めての方は、曲目を見てもどのような曲か皆目見当もつかないでしょう。そこで、タイ音楽の成立、曲名の意味、定番曲や有名曲などをご紹介していこうと思います。
なかなか主観が入りやすい部分ですので、参考文献(The Garland Handbook of Southeast Asian Music)からの引用で、数回に分けてご紹介します。
今回は、作曲家とその周辺をお伝えします。
○タイ伝統音楽の作曲事情
タイ伝統音楽は、どのような人達により作曲されたのでしょうか。
1800年代から1900年代に作られた曲の多くは作曲者が知られています。しかし、それ以前のもの、つまりアユタヤ朝以前の曲については作曲者はまずわかりません。タイの音楽家は作曲するとき、紙の上に曲を書いて残すことはせず、頭の中だけで音と音楽構造を入念に作りこんでいました。曲を具体化するのは演奏の場であり、教師という立場でもある作曲者が他の演奏者に口述で作曲を伝える時でした。作曲者は、時には機械的にそれぞれの楽器パートを教えたり、時にはコンウォンヤイのパート(基本旋律)を演奏してみて、各パートにそれぞれのパッセージを想起させるという方法をとっていました。そのような方法で曲の全体像がアンサンブルの全パートに共有されことになります。作曲にあたっての所有権、著作権といったものは発達しませんでした。
タイの方々の名前は、ニックネームを日常的に使用することもあって非常にわかりにくいことはご存知でしょう。タイの作曲者名についても同様で、混乱の原因となります。時には知られた作曲家でもニックネームが一般的となっている場合もある一方、ラマⅤ世とラマⅥ世の時代以降、タイの国王は、著名な市民に階級と名誉称号の両方を授けてきたことから、事情はより複雑になっています。これら栄典に与った音楽家のうち最も有名なのは、一般にルアン・プラディット・パイロ(1881~1954)として知られるタイの最も有名な作曲家です。最近では映画”ホームローン”の主人公として知られていますが、彼の名はソーン(矢)、そして名字はシラパバンレン(音楽を演奏する)でしたが、ラマⅥ世は彼にルアン(サー・ネーム)と名誉称号プラディット・パイロ(美しい創造)を与えました。他の音楽家では例えば、”Recite Sweet Words”、”Be Adroit at Music”、”Beautiful Sounding Fiddle”といった意味の称号を受けている人達がいます。このような称号を持たない音楽家は、普通に”先生”として呼ばれていました。
作曲家の中には王族もいます。プラジャディポック(ラマⅦ世、在位1925-1935)は“クルン・クラトップ・ファン”(波の音)、”ラトリ・プラ・ダップ・ダオ”(星明りの夜)、”カメン・ラ・アウ・アウン”を作曲しています。ナリット皇太子は、タイ伝統音楽で最も有名な曲といわれる、“カメン・サイ・ヨク”を、1888年に作曲しました。
作曲家の中で、一般人として最も有名なのがタイ文化省芸術局のMontri Tramoteです。彼は、作曲家として数多くの作曲(“ソム・ソン・セン”(月光)、”ケック・ドイ・マウ”(かめを叩くインド人)を含む)を手がけるとともにであるとともに、タイ音楽史の第一人者でした。彼とその周辺の人達は、既往の古典楽曲に対してヴァリエーションを作曲しています。
さて、上で紹介されている曲ですが、現時点で当店で取り扱っているCDでは、以下に収録されています。(今後もどんどん増える予定です。)
”カメン・サイ・ヨク”は、タイ伝統音楽の超メジャー曲のため、多くのCDに収録されています。
ピーパート版 Solo Ra Nad Mai Nuom(TD-60)
キム版 Deaw-Kim(Kha-men-sai-yok)(TD-112)
チャケ版 Solo-ja-kae ; Lao-pan(TD-35)
”ソム・ソン・セン”(月光) ピーパート版 Wong-pi-path-Mai-nom (TD-04)
”クルン・クラトップ・ファン”(波の音) キム版 Deaw Kim Bung Bai(TD-109)
”ケック・ドイ・マウ” チャケ版 Solo Ja-kea(TD-19)
(「タイ音楽のレパートリー」では、タイ伝統音楽の楽曲名など、2、3回にわたってお伝えする予定です。)
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