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ラナート・エク(1) ― タイ伝統楽器について(5)

「楽器について」 ― 今回は、タイ伝統楽器の中でもキム、ソーウーと並んでお問い合わせの多いラナート・エクについてお伝えします。

ラナート・エクは、木片が奏でる硬軟織り交ぜた美しく神秘的な音色を持ちますが、タイの音楽史上、演奏技術が高度に発達した経緯から、たいへん幅広い音楽表現が可能となった旋律打楽器(木琴)です。ピーパート合奏における中心的な役割を担う、タイ伝統音楽における代表的な楽器のひとつですが、近年、ラナートを題材にしたタイ映画が大ヒットし、この映画が本邦で上映されたことから日本でも知られるようになりました。

ラナート(ピーパート合奏用)

ラナート・エク

○ラナートの起源

木琴という形態の楽器がタイに現れたのは、アユタヤ時代の後半と考えられており、その起源にはいくつかの説があります。そのひとつは、「クラップ・セーパー」という拍子木の発展形というものです。クラップ・セーパーの「セーパー」とは、楽器の伴奏に合わせて独唱する長篇劇詩ですが、セーパーの長い詠唱で合いの手のような役割をするのがクラップ・セーパーです。このクラップ・セーパーを台に吊るしてマレットで叩くことを誰かが考えつき、さらに音程という概念を加えられて木琴に発展したのだろうという説です。もうひとつは、タイで生まれたのではなくクメールから移入したという説です。その根拠は、当時、大陸部の音楽文化に影響を与えていたジャワ島に、すでに木琴が存在していたことによります。

クラップ・セーパー

○ラナートの語源

「ラナート」という語は、ソーサームサーイ(=弦楽器+三弦)やコンウォン(=鐘+円状)のような楽器の種類・形状を表す単語ではありません。ラナートの語源にもいくつかの説があります。ラナート・エクの共鳴胴の形状は、タイの運河を行き来する小舟の形状に酷似しています。ラナートという語には、ある種の船の梁材の意味もあり、ここから来ているという説がひとつです(タイ語の辞書をひっくり返してみると、「船底に敷く竹のござ」という意味もあります)。

もうひとつは、インドの古典楽器のひとつに”ヴィーナ”という弦楽器がありますが、ここから来ているという説です。ヴィーナはチューニングが固定された楽器であり、ヴィーナのサンスクリット語名raghunatha-venaが、同じ固定チューニングのラナートに流用されたというものです。

 

○ラナートという楽器は

数年前に伝説的ラナート奏者を題材にした映画「ホームローン」(日本名:風の前奏曲)が上映されたためか、東南アジアの数ある伝統楽器のひとつであるラナートが、日本でも知られた存在になっています。その割には、演奏シーンがタイ舞踊の伴奏や式典に限られるため、実物を見て演奏を聴く機会はキムやソーウーに比べるとやや少ないかもしれません。

 

 

まず、楽器の大きさですが、想像される以上に大きい楽器かと思います。「風の前奏曲」を銀座テアトルシネマでご覧になった方は、映画館のロビーにラナートが飾ってあったのを覚えていられるかもしれませんが、イミテーションなのか妙に小さいものでした。ピーパート合奏用の実楽器では、全幅130センチ程度の大きさです。ピアノと比べてみますとその大きさがわかるかと思います。ピアノの幅よりやや小さいくらいです。

 

次回以降、ラナート・エクを少々細かく見ていきたいと思います。

○お知らせ

冒頭の写真の後(および最後の写真)のラナート・エクを、現品格安にて販売いたします。詳細につきましては、以下までお問い合わせください。

mail01@kruang-dontri.com

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